「正しい舌のポジション」を知っていますか
「舌の位置を意識したことはありますか?」
多くの方は「気にしたことがない」と答えられるかもしれません。
しかし、舌は食べる・飲み込む・話す・呼吸するといった毎日の動作を支える、とても重要な筋肉です。実は、舌が普段どこにあるかによって、お口の健康だけでなく、全身の健康にも影響を与えることがあります。
正しい舌の位置とは?
何もしていない安静時には、舌先が上の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれる位置に軽く触れ、舌全体が上あごについている状態が理想です。この位置にあることで、舌本来の機能が発揮されやすくなります。
一方、舌が下の歯の裏側に落ちている「低位舌」の状態では、食べ物をうまくまとめて飲み込めなかったり、発音が不明瞭になったりするだけでなく、お口の発育にも影響を及ぼすことがあります。
子どもの頃からの舌の位置が大切
成長期は、あごや歯並びが大きく発達する時期です。
舌がいつも低い位置にあると、上あごが十分に広がらず、永久歯が並ぶスペースが不足して歯並びや噛み合わせが乱れる原因になることがあります。また、舌で前歯を押す癖が続くと、出っ歯や開咬(前歯が噛み合わない状態)につながることもあります。
歯並びは遺伝だけで決まるものではなく、舌や唇、頬の筋肉の使い方など、お口の機能も大きく関係しています。
舌の位置と鼻呼吸の関係
正しい舌の位置は、鼻呼吸とも深く関わっています。
舌が下がると口が開きやすくなり、口呼吸が習慣化しやすくなります。口呼吸では、鼻が持つ「空気を温める・加湿する・細菌やウイルスを取り除く」といった働きが十分に発揮されません。
その結果、口の中が乾燥し、むし歯や歯周病、口臭のリスクが高まるほか、風邪やアレルギーの原因になることもあります。また、睡眠中のいびきや睡眠時無呼吸症候群につながる可能性も指摘されています。
さらに、口呼吸を続けることで姿勢が崩れたり、集中力や学習能力への影響が報告されていることもあります。
~管理栄養士が考える「舌を育てる食事」~
歯科の管理栄養士として、舌の機能を育てるためには「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も大切だと考えています。
やわらかい食事ばかりでは、舌やあごの筋肉を十分に使う機会が減ってしまいます。れんこんやごぼう、きのこ類、根菜類など、適度に噛みごたえのある食材を取り入れ、一口30回程度を目安によく噛んで食べることを意識してみましょう。
また、食事中は姿勢を整え、口を閉じてしっかり噛むことも、お口の機能を育てる大切な習慣です。
毎日の小さな意識が未来の健康につながる
舌の位置は普段あまり意識することがありませんが、食べる・話す・呼吸するなど、私たちの生活を支える重要な役割を担っています。
「舌は今どこにあるかな?」と少し意識してみることが、お口の健康だけでなく、全身の健康づくりへの第一歩になります。